畑真由美さん/声楽/ロンバルディア声楽マスタークラス/イタリア・ミラノ近郊

音楽留学体験者でなくては分からないような、音楽大学、音楽専門学校、音楽教室のコースプログラム、夏期講習会、現地の生活情報などを伺ってみます。将来の自分の参考として活用してください。

 

畑真由美さん
畑真由美さん

畑真由美さんプロフィール
洗足学園音楽大学声楽卒業。2007年ロンバルディア声楽・ピアノマスタークラスにてルチアーナ・セッラ先生の講習会に参加。


―  現在までの略歴を教えて下さい。

畑  洗足学園音楽大学の声楽科卒業です。歌が大好きで小学生の頃、合唱部に入部。また作詞作曲した作品が採用されて、全校生徒に歌ってもらった事があります。高校の頃、イギリス研修でミュージカル鑑賞をしたのがきっかけで、歌を習いはじめました。最初は遊び心でしたが、指導を受けていたオペラ歌手の先生に憧れて、クラシックに興味を持ち、本格的に精進するようになりました。

―  大学を卒業されてからは、どのような活動をされていましたか?

畑  建築大学の音響学に於けるコンサートホール設計の実験に携わり、実験を兼ねてのクリスマスコンサートをしています。また、色々なオーディションを受けて公演に出演したり、小学校から依頼を受けてコンサートを企画・演奏しています。その他、自主的に門下生同士での演奏会や同期有志による歌とオーケストラにバレエをコラボレーションしたコンサートを手がけるなど、演奏の場を常に繰り広げています。

―  講習会に参加されたきっかけを教えてください。

畑  高音を美しく出す発声のテクニックやイタリア人が話しているかのように歌う発音のポイントをつかみたいと思いまして参加しました。特に本場イタリアのコロラトゥーラの先生のレッスンを受けてみたいというのが待望でした。

―  ロンバルディアの講習会を選ばれた理由は何かありますか?

畑  ルチアーナ・セッラ先生のCDを持っていまして、先生の美声に近づきたかったからです(笑)。

―  それは良い機会でしたね。

畑  はい、これほど有名な歌手の手ほどきが受けられるなんて、レッスンが始まるまで半信半疑でしたが、本物だったので、もう嬉しさ、隠し切れませんでした(笑)。

―  先生のレッスンの雰囲気はいかがでしたか?

畑  とっても良かったです。やはり先生お得意の高い声を目の前で出された時には、すごく感動しました。

―  教え方はいかがでしたか?

畑  実際に目の前で歌ってくださり、それを近くで見る事ができましたので、大変分かりやすかったです。常に口元の形やボディーチェックをしてくださいました。また、指導に熱心な先生で、お昼休みを短縮しても、夜遅くなっても、1人45分のレッスンは時間厳守されていました。
 

ルチアーナ・セッラ先生
ルチアーナ・セッラ先生

―  雰囲気は暖かいものでしたか?

畑  そうですね、すごく雰囲気を大事にされました。生徒それぞれの個性をちゃんと見抜いてくださる感じの先生でしたね。

―  レッスンは何語で受けられましたか?

畑  イタリア語です。

―  通訳は付けられましたか?

畑  はい、付けました。

―  通訳の方はいかがでしたか?

畑  通訳の方は、もちろん、レッスンで先生がおっしゃることすべてのイタリア語を忠実に通訳してくれました。通訳の方にはレッスン以外でもお世話になりました。周りがとても田舎で、食べるところがあまりなく、英語も全然通じなくて、最初は困っていたんですね。それでいろいろ案内していただきました。レッスンで持参した以外の楽譜が必要になったときも、他の(イタリア人の)生徒に声をかけて借りて下さり、印刷屋さんを求めて一緒に歩き回って下さったことも。アフターサービスがよかったですね。そういった面では本当に助かりました。

―  語学の勉強はされていきましたか?

畑  大学で文法を学びました。その後は独学です。イタリア語は普段、歌で慣れているので、言葉は何となく聞き取れるのですが、会話となると本当に大変です。
特にイタリア人はおしゃべり好きで、しゃべるテンポも速いので、ついていかれませんでした。

―  イタリアに行かれて語学が上達したという実感がありますか?

畑  たった一週間でしたが、結構覚えました。

―  会話などが中心ですか?

畑  そうですね、生徒のみなさんが休憩時間に話している時や、買い物に行った時など、最初は要望を伝えることも、聞くこともできなかったのですが、帰る時には片言は話せるようになりましたね。

―  レッスンは何時から何時まででしたか?

畑  10時から20時まででした。

―  その間、ほかの生徒さんのレッスンを聴講されたりしましたか?

畑  今回、日本から講習会に参加したのでは私だけでしたので、先生が「すべて聴講したほうがいい」と、前の方に席を用意されて、ほとんどつきっきりでした。

―  聴講では通訳がないと思うのですがいかがでしたか?

畑  1人、英語が話せる受講生の方がいました。先生が言われていることを英語になおしていただきました。

―  講習会ではどのくらい練習ができましたか?

畑  あまりプライベートの時間が取れなかったので、1時間くらいできればいい感じでしたね。

―  どこで練習されたんですか?

畑  自分の部屋です。

―  宿泊先はどんなところでしたか?

畑  メディチ家のお屋敷(別荘)です。

―  すごいですね、まるで昔の貴族のお屋敷という感じですか?

畑  そうですね。広大な美しい庭園がありました。部屋も一部屋一部屋が全部広くて貴族が使用していたお部屋をホテルの利便性を考慮して、少し改装したという感じです。シャンデリアだけでちょっと照明が暗く、古い建物なので、ゴーストバスターズが出てきそうです(編集注:ヨーロッパ人は強い光に弱く、弱い光で十分見えるため、日本などより照明は暗くなっています。)でも、一つ一つ見るととてもすばらしい!特にテーブルはすべて大理石です。ベッドはすべてダブルベッド。たまに天蓋付もあります。ソファーも上等です。絵画は必ず、飾られています。各部屋、各部屋、お姫様が泊まるようなゴージャス感がありました。別棟にはショパンが弾いたグランドピアノなどのピアノ博物館もありました。

―  いいですね、女性なら1度は泊まってみたいような場所ですね。

畑  部屋には台所やキッチンも付いていました。私1人で泊まるには少し大きすぎて、初日は心細かったですね。

―  外食はされましたか?

畑  1度だけです。土日月をはさみましたので、ほとんどレストランが開いていなかったのです。また買うと量が多いいので、同じものを小出しに食べていました(笑)。

―  外食のお値段はどの程度でしたか?

畑  コースしかなかったので3,000円くらいでした。でも、とても美味しかったです。

―  講習会の会場と宿泊先はどのように行き来されましたか?

畑  講習会会場と宿泊先は同じ建物でした。私は2階の部屋だったのですが、講習会は1階でした。階段を下りればすぐ会場という感じでした。

―  スリなどの被害にあわれることはなかったですか?

畑  ないですね。治安のいい場所でした。

―  講習会会場からはあまり出られなかったのですか?

畑  行く時間がなく、あまり行くところもありませんでした(笑)。スーパーマーケットに買出しに行ったりするくらいです。小さな町なので、近所のお店へ行っても15分もあればすべてを散策できるくらいです。

―  海外の方々がほとんどだったと思うのですが、周りの方とうまく付き合うコツはありますか?

畑  そうですね、自分から積極的に主張しないと、全然相手にされないと思います。それと、やはりイタリア語は話せた方がいいかな、とは思いましたね。1日いると、イタリア語しか聞こえてこないので、分からないとかなり自分が疲れてくるんですね。ですから、ある程度は、イタリア語ができた方がいいとは思います。

―  今回の講習会に参加して良かったと思える瞬間は、どんな時でしたか?

畑  日本にいらしたことのあるイタリア人の方が2,3人いらしたんです。その方々がすごくホスピタリティを重視してくださったんですね。というのも、日本に来た時にすごく日本人はおもてなしをしてくれると感じていたようでした。例えば、オペラの仕事で日本に来たそうなんですけれども、一生懸命日本語で話そうとしたら、公演が控えているのだから、公演で使う言葉、つまりイタリア語以外の言葉は使わなくていいんだよ、と言われて、何不自由なくイタリア語だけで過ごせる雰囲気にしてくださったということでした。そういう方々のお話を聞いて、自分も逆の立場の時があったらホスピタリティを重視したいなと思いました。

―  留学をされて、自分が変わったな、成長したなと思うことはありますか?

畑  多少の語学力と発声が変わりました、念願の「高い音域を発声するときのコツ」をつかんだような気がします。やはり外国人の先生はかなり広い舞台で歌われており、ご経験も豊富なので、効果を出すのがうまいのでしょうね。

―  そういう先生に習ったというのは深い意味があったんですね。

畑  そうですね、たった一週間ですが、それでもかなり効果があったと思います。素晴らしい先生だと思いますね。

―  留学前にやっておいた方が良いことは語学のほかに何かありますか?

畑  選曲ですね。基本は歌曲と思い、歌曲をいくつか持参したのですが、それよりも、セッラ先生はオペラアリアを重視されます。自分で無理なく歌えるオペラアリアを何曲か用意して、一週間で完成できるような曲にした方がいいと思います。それと、鏡を見てレッスンを受けるので、ほとんどの方が暗譜でレッスンを受けていました。少し、楽譜から目を離せる程度に歌いこなしておいたほうがいいと思います。あとは、目的をはっきりさせることですね。先生に「何を習いたいのか」という自主性をすごく聞かれます。

―  前もって自分の中で計画を立てておくといいということですね。

畑  そうですね、曲を歌わなくてもいいんです。発声だけをやりたい人もいます。何がしたいかを決めておくのは、重要なポイントになってくるな、と私は思いました。

―  日本とイタリアで何が違うとお感じになりましたか?

畑  日本では10年くらいかけてやっとオペラアリアを歌えるようになりますが、イタリアではたった2.3ヶ月くらいですぐ難関のオペラアリアを歌うようです。ですから、10年以上の経験があると、相当あらゆる曲のレパートリーがあると周りから興味を持たれますね。ちょっと自負を感じることもありますね。
それから、イタリア人は母国語を大事にしているので、ほとんどイタリア語しか話さないですね(笑)。日本語を話そうとは、もちろんしないんですけれど、逆にイタリア語を話せない私に対して、「イタリア語を話せないのにどうして来たの?」とよく質問されました。そういう所は違うかな、と思いました。日本人はそんなことがあっても、わりと心を広く持って、頑張って向き合おうとすると思うのですが、イタリア人はイタリア語にプライドを持って、極力イタリア語以外は話さない、という雰囲気はありましたね。だから、こちらが積極的に話していかないと、と思います。イタリア人は待っていては来ない、というところは、日本とはギャップがあると思いました。

―  今後、留学する人にアドバイスしておきたいことはありますか?

畑  音楽用語というか、歌を歌う時に、「もうちょっと口を前に」とか、「目」「足」「息」とか、身体を使ってのアドバイスをされるので、身体の部位の言葉をイタリア語で覚えて行けば、レッスンの時にかなり役立つので良いと思います。

―  ありがとうございました。

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