福田純子さん/リヨン地方音楽院/フランス・リヨン

福田純子さん/リヨン地方音楽院/フランス・リヨン福田純子さん プロフィール宇都宮大学大学院、東京藝術大学大学院修了後渡仏、リヨン国立高等音楽院ピアノ伴奏科でピアノ伴奏(器楽・歌曲・オペラ)、ピアノ独奏、室内楽、クラヴサン、鍵盤和声、ヴォーカルテクニックなどの幅広い研鑽を積み卒業。リヨン地方音楽院にてエクリチュールを学ぶ。
フランス政府、メセナミュジカルなどからの奨励金を獲得し、リヨン国立高等音楽院で結成した金管楽器 とのトリオTriO+(トリオプリュス)のメンバーとして日本ツアーを行い、フランスでは日仏交流150周年記念イベントに際して日本領事事務所の後援により複数の演奏会を行った。
ウィーン国立音楽大学のマイスタークルゼを受講し修了演奏会に出演。リサイタルの自主公演をはじめ、ソロ・室内楽・伴奏などで日本、フランスを中心に多数の演奏会に出演、また企画にも携わり、オーケストラやブラスバンド、合唱との共演も多い。
音楽院在籍中よりリヨン国立高等音楽院の他リヨン地方音楽院、エコールドミュジークなどでの伴奏や、EU内の複数の国際コンクールで公式伴奏者を務める。卒業後もリヨン国立歌劇場・サンテティエンヌ歌劇場でコレペティトゥールをする他、ブルゴーニュ高等音楽師範学校で教鞭を取る。
その他にもアルトホルン奏者のソフィ・ビュドゥロと共演、CD「Adventure」に楽曲が収録されている。現在はリヨン地方音楽院伴奏助手や、合唱団「エメルテ」にてピアニストとして活躍している。
- Adventure / ソフィ・ビュドゥロ
http://sophie-bb.com/adventure/
-エメルテ
http://www.emelthee.fr/
・エメルテ ドキュメンタリー動画
https://vimeo.com/190394960
https://vimeo.com/190395008
https://vimeo.com/190399668
https://vimeo.com/190452222
https://vimeo.com/190452216
https://vimeo.com/190452223
・フランスミュジーク(ラジオ)で出演時動画
https://www.youtube.com/watch?v=VJYIEBW7i54
-これまでの経歴をお教えください。
福田さん: 私は栃木県出身で、最初に宇都宮大学に入学して、大学と大学院を終えてから東京藝術大学の大学院に行きました。そのあとに、リヨン国立高等音楽院のピアノ伴奏科に入学しました。そのあとは、学生のときからいろいろ伴奏のお仕事はいただいていたんですけど、卒業後もいろんなところで、母校のリヨン国立高等音楽院とか、あとはリヨンやサンテティエンヌのオペラ座とか、ディジョンにあるブルゴーニュ高等音楽師範学校で教えたりとか、いろいろ仕事していたんですけど、今現在はリヨン地方音楽院で伴奏をしています。
-東京藝術大学を出られてからリヨン国立高等音楽院に入学するまではスムーズに進んだのですか。
福田さん: はい。でも、日本で長いこと学生をしていたので、力試しのつもりで受けました。ダメだったらダメでいいやという感じでした。
-受験の時語学は結構大変でしたか。
福田さん: 語学力については最低限のレベルだけ必要ということで、特に試験があったわけじゃなかったんですけど、藝大で第二外国語としてフランス語をやっていたのと、直前に語学は集中して勉強しました。
-フランス語は結構難しい言語だと思うのですが、受験時現地でのコミュニケーションもしっかりとされて、すごいですね。
福田さん: そうですね、フランス語は慣れないと難しいです。また、自分で勉強していっても、実際に話す、社会生活の中で使うとなるとまた違うという。会話のテンポも違いますし、慣れはとても重要ですね。
-それで、伴奏のお仕事をされていたということで、これはどのような経緯でお仕事のお話をいただいたんですか。
福田さん: 最初は、学校に音楽学校の伴奏者を探しているという張り紙があって、友達がそれを見つけてきて「これ一緒にやらない?」みたいな感じで誘われて。それで連絡してみたところ、行かせてもらえることになったのが最初です。
-そこから教員としてもお仕事をされるようになったという。
福田さん: 伴奏は単発の仕事が多いので、この期間だけ、この何日間だけピアニストが必要という案件などで少しずつ仕事していけば、だんだん話が回ってくるようになるんですよね。あとは、大きい仕事は恩師が紹介してくれました。リヨン国立高等音楽院の伴奏科の教授だった先生が私のことを主要なところに推薦してくださったんです。それでオペラ座やリヨン国立高等音楽院のお仕事をさせてもらいました。
-学生さんの頃からすごい優秀だったんですね。
福田さん: いえいえ。本当に私がいたときは、特に怪物のような優秀な子がいっぱい周りにいて、私はなんでこんなところにいるんだ?といつもめげながら学生生活を送っていたんですけど、それで多分、かわいそうに、って思って紹介してくれたんだと思います。
-ハイレベルなところで揉まれた結果が実ったということですかね。
福田さん: 本当に行ってよかったと思います。私もそれこそ20代後半だったので、最初は「えー、今から留学するの?」、「やめなさいよ」というのが周りの意見だったんですけど、勉強するなら30歳までかなと思って、最後のチャンスだからと思ってフランスに行って、すごく大変で泣きながら勉強していましたけど、でもあの期間があって良かったと思います。
-それから朝から晩までお仕事をいろいろされていたんですね。
福田さん: そうですね。ありがたいことにいろいろ縁がつながったり、継続的に依頼を頂いたりして、日本にいるときからできることは断らない性格だったので、なんでも引き受けてスケジュールに少しでも間が空いているとOKしてしまう悪い性格なんですけど、仕事は入れられるだけ入れ込んでいました。
-それで今はリヨン地方音楽院の伴奏助手とプロの合唱団のピアニストもされているということですよね。こちらはどういった経緯でされるようになったんですか。
福田さん: それもリヨン国立高等音楽院経由で。もともとは教授が私の連絡先を伝えてくださったんです。プロの合唱団の指揮をしている先生もリヨン地方音楽院で教員をしているので、一度伴奏者の代理で行って、そこで知り合って、音楽面でも人間面でも意気投合してそれから依頼してもらえるようになったという。
-一般的に教授から演奏の仕事を紹介していただいたりということが多いんですか。
福田さん: そうですね。あとは友達内で紹介し合うというような。大体みんな友達のリストを持っていて、例えば自分が急にできなくなったときは順番に友達の連絡先を渡していって、例えばリヨン内では伴奏者はつながりができているというか、大体どこにどんな人がいるというのは周りの人みんなわかっているんです。
-やはりつながりは大事なんですね。
福田さん: そうですね。お友達はすごく大事だと思います。
-音楽に興味を持たれたきっかけはなんですか。
福田さん: うちの祖父がもともと学校の音楽の先生をしていて、その時代は音楽だったり書道だったり、芸術系科目を教えていたので、退職後も自宅でピアノを教えていたんです。私が生まれたときには既に自宅でピアノを教えていて、私が赤ちゃんだったときにピアノはずっと聞こえていて、祖父自身も弾いていたし、ピアノの習い事がとても流行っていたので生徒がたくさんいて、レッスン室にちょっと顔を出して聴かせてもらうと、生徒さんから赤ちゃんだから可愛がられていました。いつも音楽があって、聴きながら手拍子をしたりするのが楽しくて、自然に音楽が大好きになりました。家にもアップライトピアノや、昔のいわゆる足踏みオルガン、あとは木琴やハーモニカや縦笛など、さまざまな楽器が一式あったので、歌いながら自分でメロディーを探しながらピアノで弾いたりして遊んでいました。
-楽器に囲まれて育ってきたというような環境だったんですかね。おじい様に最初はピアノレッスンの手ほどきを受けて、という感じだったんですか。
福田さん: 最初はそうですけど、遊びの延長で家族だとうまくいかないので、教えてもらっていたというよりはいつもケンカで終わっていましたね。8歳になってから外の先生のところに習いに行ったと思います。それまでに一通り、楽譜の読み方とバイエルまでは自分でやっておいて、8歳になってから近所の先生に習いに行きました。
-本格的に音楽の学校に入学されたのは東京藝大の頃からですか。
福田さん: 宇都宮大学は教育学部の音楽科だったので、そのときからです。
-高校は普通科の高校で。
福田さん: はい。高校までは普通に勉強していました。でも、ピアニストになりたいというのはずっと思っていて、祖父が先生だったということもあり、小さい頃は学校の先生になりたいと最初言っていたんですけど、小学校に上がるぐらいにピアニストという言葉を初めて聞いて、そんな言葉、そんな職業があるんだと思って、それから興味を持っていました。ピアニストになりたいとなんとなく頭の中では思っていたんですけど、両親はあまり音楽をやることに賛成ではなかったので、自分だけで温めていました。興味があったんですけど「そんなバカなことを言うんじゃない」と一蹴されて終わりました。
-それで、ピアノ以外に歌も大好きだったということなんですが、歌もお勉強されていたんですか。
福田さん: いや、教育学部だったので、ある程度ソルフェージュで歌ったりとか、基礎の発声ぐらいはやりましたけど、全然歌えませんでした。声は出ないです。
-ほかに何かピアノ以外にも興味を持った楽器はありましたか。
福田さん: 中学のときにはパーカッションを吹奏楽部でやっていました。あとは作曲も好きで、勉強するのは好きでした。
-当時はクラシックの音楽をいっぱい聴いていましたか。
福田さん: そうですね。クラシック100%でほかのジャンルはほとんど聴きませんでした。
-歌謡曲も全く聴かないような。
福田さん: 全くでした。
-あまり興味もなかったんですか。
福田さん: 刷り込みだと思うんですけど、うちの祖父が堅い人だったので、テレビをつけていても歌謡曲がかかると消す人だったんです。別にいい悪いの問題じゃなくて、私は別に嫌いじゃないんですけど、聴ける環境になかったです。
-もうクラシックの英才教育という感じで。
福田さん: いや、全然英才教育というわけではないんですけど。
-すごいですね。でもそのときに夢に描いていたピアニストの職が仕事として、さらに音楽の本場のフランスでご活躍されているというのは本当に努力の賜物だと思います。
福田さん: いえいえ、本当にやりたいという気持ちだけでここで来てしまったという感じです。しかも、最初に学校の先生になりたかったという、それも結局は叶っているので、二つ夢が叶えられてうれしいです。
-朝から晩まで仕事で、おにぎりを食べながら移動されたというエピソードもいただいていますが、やはりプロとして仕事を維持するのは結構大変じゃないですか?そういう苦行を乗り越えられてきたというのはすごいなと思います。
福田さん: 演奏するのって体力も要りますし、体の調子もよくないといけないし、体調管理は大事です。例えば日によっては疲れていたりやる気がなかったりするときもあるけれど、そんな言い訳はできないので、それがこの職業のつらいところだと思います。
-体調管理される上で気をつけていらっしゃることはありますか。
福田さん: 特にないですけど、睡眠はちゃんととるようにしています。あと、食べたいものを食べるようにしています。そのときに食べたいものって体が欲しているものだと思うので、例えば甘いものが食べたかったら甘いものを食べます。
-そうですよね。やせ我慢することがストイックさと捉われがちですもんね。
福田さん: バランスよく食べないといけないですけど、でも自分に正直に、と言いますか。
-好きな食べ物はありますか?
福田さん: なんでも好きです。よく友達に招待されると、純子が来るときには2人前換算しないとダメだと言われていたぐらいなんですけど、でも最近はだいぶ食べる量減りました。
-リヨンには日系のスーパーがあったりするんですか。
福田さん: 日系もありますね。あと中国系とか、アジアのスーパーがあります。
-そうなんですね。では次の質問ですが、音楽を勉強するにあたってヨーロッパ(フランス)の良い点、悪い点がありましたらお教えください。
福田さん: やっぱり音楽の本場なので、空気が違うというか、生活に密着しているという感じはすごくあります。だから、学校にちゃんと入らなくても、短期で来るだけでもすごくいいと思います。周りの人が音楽に対して反応がダイレクトで、それがうれしいというか、演奏したことに対してもすごい素直で、良くも悪くも返ってくるというのはあると思います。あと、それと同じことですけど、レッスンする中でも、私が生徒の立場だったときも、今の教える側の立場でもそうなんですけど、例えば2、3人のグループでレッスンするときに、1人演奏して、聴いていたもう片方にどうだった?と聞くんです。その中で意見の交換が活発に行われて、それってすごいいいなと私は個人的に思っていて、それが刺激になるので、1回日本の生徒さんにそれをやったことがあったんですけど、シーンとしてしまって。人にコメントするのを控えているというか、そこがすごく違うなと思いました。先生に歯向かう子もいるので、最初留学しているときは隣にいて、えーっ、と思うこともありました。あとは、フランスに行く前にウィーンにも行ったんですけど、フランスももちろんそうですけど、湿気が少ないので音の聞こえ方が違うんです。ピアノの鳴りが全然違うというか、無理なく弾けるというか、それは実はあとで湿度の違いだったんだと知りました。日本では、湿度が高かったせいか、強くタッチしすぎていたことに気付きました。楽器もいい状態でいられるし。ピアノは湿気があるといけないので。そういうのもあるし、空気の振動の伝わり方も違う気がします。
-演奏に対しての意見の交換を行うという部分はヨーロッパの文化を感じますね。
福田さん: 先生が「なんで練習してこなかったんだ」って隣の生徒に怒っていたときに、その生徒は「今週これがあって時間がなかったんだ」みたいな口答えをしていて、それはちょっとやりすぎだと思いますけど、生徒も対等で、自分のアイデンティティを、いい意味でも悪い意味でもしっかり持っているなと思いました。
-アイデンティティをしっかり持っているという部分は素晴らしいですね。では逆に悪い点のほうをお教えいただけますか。
福田さん: 悪い点は、勉強するという純粋な意味では特にないと思うんですけど、もちろん勉強すること自体はいいことなので。ただ、生活の面ではもしかしたら最初は苦労することがあるかもしれません。ビザの手続きなどで、いろいろ書類も必要だし、手続きの窓口もすごく事務作業が遅かったり、土日は完全に閉まっちゃうし、バカンスも多いからなかなか手続きが進まなかったり、アパートで不具合があったときにすぐに人が来てくれないとか、ことがうまく進まないというところはあると思います。今思うと日本が住みやすすぎて素晴らしかったんだと気づかされました。
-留学を始められた当時はこういうことで苦労されましたか。
福田さん: そうですね。まずアパートを探すことから何から何まで自分でやらなければならなかったので、気持ちを強くもって頑張って交渉していかないとダメなんだなと思いました。
-フランスを留学先にすることで最も重要なことは何でしょうか。
福田さん: 理由をはっきり自分なりに持つことだと思います。なぜフランスなのかって、先生を選ぶとしても人によって相性が合ったり合わなかったりがもちろんあるし、国のカラーもそれぞれだと思うんですけど、自分がなぜそこに行きたいか、そこを選んだのかという目的をはっきり持つことが大切だと思います。私の場合はフランスのピアノ伴奏科の勉強内容に興味を持っていたので、当時私が留学したときは日本では伴奏科というのはまだなかったので、でも例えばドイツで伴奏を勉強するのとフランスで伴奏を勉強するのとではカリキュラムが全く違うので、私はフランスのカリキュラムに興味があって、もともといた藝大でした勉強もそれに似た内容だったので、それでフランスに、行こうとまでは思っていなかったんですけど、受けるだけ受けてみようと思って、それでパリとリヨンと二つに絞ったけれど、パリでは私は年齢制限を超えていたので受けられずリヨンにしました。
-海外、特にヨーロッパでお仕事をするにあたって日本人が有利な点、不利な点はありますでしょうか。
福田さん: 演奏自体を職業にする場合は国籍は全く関係ないと思います。実力主義だと思います。友達がたくさんできるとか、周りの人間関係に気をつけるとか、あとは基本的なこと、例えば時間を守る、約束を守る、ちゃんとその時間に来て言われた仕事をきちんと責任をもって果たせるかということも大事だと思います。日本人が有利なのはそこで、基本的に真面目でしっかりしていると思うので、信頼されることが多いかなと思います。不利な点は、これは個人的な話になりますけど、リヨン地方音楽院は公立の音楽院なので、2009年ぐらいから仕事をさせてもらっていますけど、はじめは非常勤の扱いでちゃんとした常勤のポストがほしいなと思ったときに、最初は私を正式に雇うことに少し躊躇されていたのではないかなと思うところもなくはありませんでした。でも長いこと非常勤を勤めるうちに、仕事の質で勝負しようと思い、まわりの誰よりも良い伴奏ピアニストになると自分に言い聞かせて働いてきました。そのうちにどんどん評価してもらえ、複数の教授からのサポートも得てついに正式にポストをいただくことができました。もちろんリクルートは公募で、ちゃんと試験も受けましたが!
-仕事の質で勝負しようと気づかれた点はすごい前向きなお考えで、ストレートな視点をお持ちなんだなと思いました。
福田さん: 幸いそこで一緒に働いている教授たちがよくしてくれて、居心地がよかったのもあって、その周りのおかげで、教授が何人か学校側に直談判してくださって、私を使ってもらえるように話をしてくれたというのもあって。
-素晴らしいですね。では次の質問ですが、音楽とはご自身にとって何でしょうか。
福田さん: 自分の生活です。それがあるから生きていけるという感じで、普段はどうしても家にいると家事に追われ、育児に追われ、毎日の生活に追われてしまいますけど、子どもを学校に送りにいって仕事に行けば、すぐ音楽モードに頭を切り替えないといけないので、家庭のモードと全然違うので、大変だけれどそれが自分の生きる活力になっているというか、これがないと私は生きていけないと思います。
-生まれた頃から音楽に囲まれて育ってらっしゃったし、すごく説得力のあるお言葉だと思いました。
福田さん: 生徒さんのことも、私もすごい一生懸命になってしまうほうなので、頑張っている若い子たちと一緒に自分も刺激を受けながら自分でも頑張ってしまうというか、そんな毎日です。
-ありがとうございます。今後の音楽的な夢をお聞かせいただけますか。
福田さん: 今まではずっとバタバタしていましたけど、もう少し時間ができたら、今一緒に仕事させてもらっている教授たちの仕事を周りに紹介できたらなと思っています。もし日本でも何かできたらいいなと、漠然と思っています。
-ヨーロッパでプロの音楽家として活躍する秘訣、成功する条件はありますか。
福田さん: なかなか難しいと思うんですけど、とにかく私は最初は人づてで仕事のつながりが増えていったので、現地の友達をたくさん作るのはまず大切だと思います。どこからつながりが始まるかわからないので、それは第一のステップだと思います。特に私はピアノ伴奏だったので、人付き合いが好きで、いろんな人に会って、自分がオープンでいられるということも大事だと思います。1回始まったら頼まれたことは責任をもってきちんと仕事をするということが信頼関係を築く上で大切だと思います。あとは、生徒さんに言うことなんですけど、例えばオーケストラとかに入団試験を受けて入るのはまた別の難しさがあって、たった一つの席に優秀な人たちがいっぱい受験しにくるという、それは日本も一緒ですけど、なかなか入れないので、そこで1位をとらなきゃいけないという準備がちゃんとできるかどうか、演奏面であったり、メンタル面であったり、本当に綿密に準備を完璧にして、しかも自分を冷静に分析して前に進めていけることがすごく大事だと思います。本番がそこしかないので、そこで自分の最大の力を発揮しなきゃいけないって、すごい難しいことだと思うんですよね。自分をよく知って、自分はどういうタイプの人間なのかもちゃんと分析して、そこに持っていけることができるかどうか、だと思います。人間はやっぱりみんな人間で、完璧じゃないです。でも悲しいことに音楽はコンクールとかオーディションは技術面ではできるだけ完璧に近くなくてはいけないので、そこで綿密な準備をどこまでできるかというところだと思います。
-では最後の質問になりますが、これから留学を考えている、海外で勉強したいと考えている読者にアドバイスをお願いできたらと思います。
福田純子さん/リヨン地方音楽院/フランス・リヨン福田さん: 音楽の道は大変なので覚悟をもっていったらいいと思います。人によって目的は違うと思うので、その目的を自分なりにもって、続けていくという気持ちを強くもって、音楽を好きであって、絶対それをやり遂げてやろうという意思を持つことが大切だと思います。留学の期間とか、学生でいられる期間はすごく短いので、その期間でいったい自分が何を勉強したいのかということを、先にどうなりたいかというビジョンを明確に持って、そのために時間を無駄にしないで勉強してほしいと思います。周りから受ける刺激も多いので、留学している間に、自分の練習ももちろん大切ですが、自分の部屋だけにこもってしまって外に出ていかないという、自分の部屋と先生のレッスンとの往復だけにならないように、まわりの学生がどういうことをしているか、どんな勉強をしているか、どんな演奏をしているかをよく観察するといいかと思います。私も個人的には、レッスンの中で教わったこともいっぱいあったけれど、怪物のように優秀な演奏者の友達が周りにたくさんいて、そこから受ける刺激がすごく多かったので、それってとても大事だと思います。その中で自分は何をしていったらいいのかというのを考えたらいいと思います。
-海外に行って、いろいろな方々との出会いの中で自分の目標を明確に持ち夢を実現させるため切磋琢磨するというお話とても参考になりました。今日は貴重なお話お聞かせ頂きありがとうございました。
福田さん:ありがとうございました。

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